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[めいてつローカーボ生活] 医師 灰本先生のコラム 11

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肥満パラドックス その3 -どのくらいのBMIが一番長生き?-

肥満パラドックスについて3回目のコラムとなります。今回はその核心となります。

これまでのコラムからメタボリック症候群はトンチンカンあるいはうさんくさいことがわかってきたと思います。それでは、どのくらいの体重(BMI)が一番長生きなのかが気になるところです。今回は日本人のBMIと死亡リスクについて解説します。

まず、40歳以上の中年期~高齢者の全体でどのくらいのBMIが一番死亡リスクが少ない、つまり長生きなのかについてお話しします。この問いに答えられる大規模な研究が日本にはあります。日本人の一般住民35万人を12.5年間追跡、高齢者集団の追跡なので実に41,260人の方が亡くなりました。登録時(12.5年前)のBMIとその後の死亡リスクについて解析したグラフです。

 

このグラフは縦軸が死亡リスクを表すので上に行けば行くほど死亡リスクが高くなります。一方、横軸はBMIで右に行けば行くほど肥満となります。したがって、男性で一番長生きなのは青の括弧の範囲、つまりBMI23.029.9、女性では赤の括弧のBMI21.026.9となります。わたしは165cm62.7kg(最新)なのでBMI23.0となり、男の一番長生きの下限にいます。さらに34kgほど太りたいと思っていますが、なかなか太れないのが現状です。この結果は大規模で長期間追跡しているので、科学的に覆すのは困難です。今までなんとなく言われてきたBMI22が理想は嘘で、それよりずっと重い体重の方、つまり小太りや肥満といわれる人の方が長生きだということがよくわかりますね。この論文は2011年に発表されました。

次に日本人で65歳以上に限定したBMIと死亡リスクの研究もあります。すでに説明した右のグラフは、登録開始時の年齢が40~65歳の中年から初老の人たちですが、人生80年時代の今日、70歳以下の年齢で亡くなるのは希です。今年で65歳を迎えたわたしとしても65歳以上の人だけを追跡したBMIと死亡リスクの関係を知りたいところです。右下のグラフは65歳~79歳の一般住民2.7万人を11年追跡して9,200人が亡くなり、それを解析したものです。この論文は2010年に発表になりました。
男性でもっとも長生きなのはBMI20.030以上、女性では20.029.9です。男女ともBMI20以上なら大丈夫ということになります。一方、BMI20未満の痩せを見ると、痩せれば痩せるほど急激に死亡リスクは上がっていきます。BMI20.022.91.0とするとBMI16.0未満の痩せた人は男性で1.75倍(75%)、女性で2.5倍(150%)も死亡リスクが増えることになります。65歳以上では痩せると大変なことになりますね。右下のオレンジ色で囲った範囲のBMI20未満の65歳以上の人口で、実に日本の人口の25%、4人に一人が痩せなのです。日本人の死亡リスクを押し上げているのはこの痩せた人たちなのです。

 

この二つのグラフから、理想的と言えるBMIは年齢によってかなり異なりますが、これまで数十年前から理想的と言われてきたBMIが22よりかなり太った人、つまり小太りや肥満の方が生存には有利なことがわかります。逆に、BMI20未満の痩せた人は生存には不利なこともわかります。現在自分がどのBMIに位置しているか計算してよく考えてみましょう。BMI=体重(キログラム)÷身長(メーター)÷身長(メーター)で簡単に計算できます。とにかく痩せれば健康というトンチンカンな口ぐるまには乗らないようにしましょう。痩せると危険な人たちが日本にはたくさんいるのです。とくに高齢者で痩せるのは止めてください。

これらは40歳以上、65歳以上に限定した科学的事実でいずれも2010年以降に発表されています。比較的最近の出来事です。しかし、20歳代ではこの原理は当てはまらないことにも注意が必要です。


次回は20歳前後の若い人たちの理想的なBMIについてお話しします。


コラム著者 灰本 元 氏 (はいもと はじめ)

医師、灰本クリニック院長、NPO法人日本ローカーボ食研究会代表理事
1953年山口県生まれ。1978年名古屋大学医学部卒業。関東逓信病院(現 NTT東関東病院)内科レジデント、名古屋大学医学部大学院(病理学)、愛知県がんセンター研究所病理部、中頭病院内科(沖縄市)などを経て、1991年に愛知県春日井市に灰本クリニックを開業。診療の特徴は高血圧、糖尿病、ローカーボ食、癌の診断、漢方医学など。

NPO法人日本ローカーボ食研究会は、ローカーボ(糖質制限、低炭水化物)食による糖尿病・メタボリック症候群の治療を安全に、そして有効に実施する為に2011年3月に灰本氏を中心に設立されました。ローカーボ食の科学的な研究、海外文献の紹介、定期的な研究会開催などを行い、それを基に医療機関だけでなく食品・健康機器関連会社、製薬会社、一般の患者さんへ啓蒙と普及を目的としています。ローカーボ食の有効性だけでなく弱点や課題も含めた総合的な科学情報を提供します。現在、東海地方を中心に10の病院・クリニック等が協賛医療機関として登録しています。

灰本クリニック
http://www.haimoto-clinic.com/

日本ローカーボ食研究会
http://low-carbo-diet.com/


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