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[めいてつローカーボ生活] 医師 灰本先生のコラム 2

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ローカーボで脂肪摂取が増えると死亡が減る
ローカーボにおける脂質摂取の重要性

ローカーボでは糖質(炭水化物)を食べる量(糖質摂取量)を減らすことが一番重要な食事療法ですが、それと同時に脂質摂取量を増やすことも表裏一体と言ってよいほど大切です。単に糖質摂取量を減らすだけなら従来のカロリー制限食と大して変わりません。ローカーボでは、糖質を減らした分だけ脂質を増やすことにより、“お腹が空く”“ひもじい”感を感じなくてすむことです。したがって、長く続けることができます。


脂を食べても健康に悪くない?

そこで疑問となるのは,脂をたくさん食べて健康に悪くないのでしょうか。今までの栄養学は「脂を食べること」をとことん悪者にしてきた長い歴史があり、メタボ健診でも脂質摂取を減らそうという指導がなされてきました。そのような背景から、日本人の多くは脂質を食べることに抵抗があります。ところが最近、脂質摂取と病気の関係についてその研究成果の全貌が明らかになり、その現状を皆さんにも是非知って欲しいと思います。

脂質摂取量はできるだけ少ない方がよいとする従来の考え方は、血液のコレステロール値や中性脂肪が増えることを根拠にしています。例えば、卵を食べると血液の悪玉コレステロール値が上がります。しかし同時に善玉コレステロール値も上がるため、影響は相殺されて卵をいくら多く食べても心筋梗塞死や脳梗塞死は増えないことが最近わかってきました。また、血液の中性脂肪値の上昇についても、長期間にわたって糖質摂取量が増えることによる影響がよくないこともわかってきました。脂をたくさん食べてもコレステロール値や中性脂肪値が直接上がるわけではなく、むしろ糖質などを材料にして体のなかで中性脂肪を作り出す方が多いのです。

脂質摂取量と死亡リスクの研究結果

脂質摂取量の多い人は、少ない人に比べて将来的に致死的な病気に罹りやすく死亡リスクが高いのでしょうか?  この疑問に応えるためには、10万人規模で数十年にわたって死ぬまで追跡するという膨大な時間と費用をかけた研究を行うしかありません。そんな研究は世界にたった4つ、2006年から2016年までスウェーデン、岐阜大学、名古屋大学、アメリカの4つの大学から発表されています。そのうち二つの研究が、東海地方の大学からの発表されたのを誇らしく思いますので、紹介します。

1つ目の岐阜大学 永田知里教授らは、約3万人(高山市の住民)を16年追跡しました(2012年発表)。一番脂質が少ない人たちの総死亡リスクを1.0とすると、最も脂質が多い人たちは0.75。25%も死亡率が減っていたことがわかりました。とくに癌と肺炎による死亡が減りました。ただし、これは男性のみの話で、女性では脂質摂取量と死亡に関係は見られませんでした。

2つ目の名古屋大学 若井建志教授らは、6万人を19年追跡しました(2014年発表)。脂質摂取量を少ない方から1群から5群までに分けて解析したところ、女性では脂質摂取が多い方から2番目の4群で最も死亡リスクが減っていました。一方、男性では脂質摂取量と死亡には関係がありませんでした。

もっと脂質を食べるべき!

当院の患者調査では、日本人の1日の脂質摂取量は16~100gに分布しており、1日平均は男性で60g、女性で54gです。岐阜大学も名古屋大学の研究成果も男女の違いはあるにせよ、重要な点は、現在の日本人の平均よりも多い1日の脂質摂取量70~80gの人の死亡リスクが少ないことを示しています。この2つの研究によって日本人の栄養摂取基準が改められ“もっと脂質を食べるべき”となりました。このように、ここ5年間の大規模な研究により、長らく続いた“脂質は健康に悪い説”は見事に覆されたのです。
ちなみにスウェーデンでは脂質摂取量が一番少ない人でも、日本人の脂質摂取量が最も多い群よりさらに多いです。脂質を日本人平均の2倍以上食べても死亡リスクには影響しないことがわかっています。


次回の灰元先生のコラムは、「摂取する脂質の内容、とくに動物性脂肪と病気の関係について」を説明します。


コラム著者 灰本 元 氏 (はいもと はじめ)

医師、灰本クリニック院長、NPO法人日本ローカーボ食研究会代表理事
1953年山口県生まれ。1978年名古屋大学医学部卒業。関東逓信病院(現 NTT東関東病院)内科レジデント、名古屋大学医学部大学院(病理学)、愛知県がんセンター研究所病理部、中頭病院内科(沖縄市)などを経て、1991年に愛知県春日井市に灰本クリニックを開業。診療の特徴は高血圧、糖尿病、ローカーボ食、癌の診断、漢方医学など。

NPO法人日本ローカーボ食研究会は、ローカーボ(糖質制限、低炭水化物)食による糖尿病・メタボリック症候群の治療を安全に、そして有効に実施する為に2011年3月に灰本氏を中心に設立されました。ローカーボ食の科学的な研究、海外文献の紹介、定期的な研究会開催などを行い、それを基に医療機関だけでなく食品・健康機器関連会社、製薬会社、一般の患者さんへ啓蒙と普及を目的としています。ローカーボ食の有効性だけでなく弱点や課題も含めた総合的な科学情報を提供します。現在、東海地方を中心に10の病院・クリニック等が協賛医療機関として登録しています。

灰本クリニック
http://www.haimoto-clinic.com/

日本ローカーボ食研究会
http://low-carbo-diet.com/


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